木らり(ショールーム)
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ショールーム内部を見る。
無垢の木を積層した空間に包まれる。
「無垢の端材をプロダクトに活かしていき、展示する場所としたい」、「事務室をきれいにし、来客対応をしたい」とご希望されていました。
「提案を見た際、ワクワクするようなデザインであったため」
50年以上にわたり木製家具の製造に携わり続けている木工所工場に併設された事務室からショールームへのコンバージョン。11㎡の空間に木製家具製作時に出る端材を利用したプロダクトを展示する場を求められた。ただ古い壁や天井を剥がし、新しい壁や天井を設え、什器を置くという方向ではない、来訪者が楽しめる、什器と空間が一体化したような、多治見の風景に根ざせるようなあり方を考えた。
粘土山の山肌の地層や石ころが露出しているのが、陶磁器で有名な多治見らしい素朴な風景のひとつであると思った。地層は長い年月をかけ堆積し積み重なるもの。その積み重なる風景を木工所のショールームにふさわしい無垢の木と無垢の端材で積層し構成した。無垢の木の断面の不均質さが与えてくれる雰囲気が空間を包む。
土から手をかけ陶磁器が生まれるように、この場所からも年月をかけアイデアを積み重ねたプロダクトが生まれ、様々な方に紹介できる場となるようにしたいと考えた。
「来訪者はほぼ1時間以上ショールーム内にいらっしゃいます。
長居したくなる空間、不思議な空間、深く思考できる空間、心地の良い空間です。」
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南西より見る。
外壁もショールームに相応しくなるよう改修した。
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ショールーム内部を見る。
積層した壁が天井に行くに従い、迫り出し包み込まれた印象をつくる。
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積層壁を見る。
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内部を見る。
もともと開口部がなかった箇所に開口を設け、外の緑や光を取り込むようにした。
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使用の仕方例。
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壁面を見る。
端材を挟み込みながら、無垢の板を積層した空間。
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空間見上げ。
迫り出しによって包まれる。